『ハチドリのひとしずく いま、私にできること』
監修・辻 信一
この本のことを、8月の「校長室から」に紹介しました。
わずか、17行の詩です。
しかし、そこには何十行、何百行、何千行もの深い深い意味が込められています。
森が燃えていました
森の生きものたちは
われ先にと
逃げて
いきました
でもクリキンディという名の
ハチドリだけは
いったりきたり
くちばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは
火の上に落としていきます
動物たちがそれを見て
「そんなことをして
いったい何になるんだ」
といって笑います
クリキンディは
こう答えました
「私は、私にできることをしているだけ」
『ハチドリのひとしずく いま、私にできること』
監修・辻 信一(光文社刊)より引用
「ぼくたち人間は、すべての生きものの中で最大の力をもつようになりました。残念ながらその力はしばしば、人間同士傷つけ合ったり、自然環境を壊したりすることに使われてきました。でも、幸いなことに人間は、小さな地球人として、そのことを自覚することができます。そしてその気になれば、力を合わせて水のしずくをたくさん集め、燃えている森の火を消すだけの力をもっています。 地球温暖化、戦争、飢餓、貧困……。ぼくたちの生きている世界は深刻な問題でいっぱいです。しかしぼくは、それらの重大な問題よりさらに大きな問題があるという気がします。それは、「これらの問題に対して、自分にできることなんか何もない」とぼくたちがあきらめを感じてしまっていること。もしもこの無力感を吹き払うことができたら、つまり、「私にもできることがある」と思えたら、その瞬間、ぼくたちの問題の半分はすでに解決しているのではないでしょうか。」 (監修者・辻 信一さんの言葉) |
クリキンディの最後の言葉、「私は、私にできることをしているだけ」は、私たちにいろいろな意味で示唆を与えてくれます。
さまざまな、そして大きな困難にぶつかった時、私たちは己の力の微力さを痛感します。目の前の壁や山の高さが気になって、乗り越える気力を喪失する。自分ひとりがやっても、結局は無駄。などと、できない理由を探すのが人の常?自分にできることをする、ただそれだけのことが実際は難しいのです。
しかし、人間は、いま、自分にできることしかできない存在です。
さて、まわりを見渡し、「いま、自分にできること」を見つけ、具体的に動いてみたいと思います。